オカメインコの品種解説

 

◆基本的な考え方◆

 オカメインコ(Cockatiel)には様々な品種が作出されており,一般的なものから日本ではあまり見る機会のないような非常に珍しい品種までが存在しています。しかし,分類学的には『オカメインコ』は一属一種で,色変わりは亜種ではありません。

和名
オウム目
オウム科
オカメインコ属
オカメインコ
ラテン語
Psittaci
Cacatui
Nymphicus
hollandicus

 オカメインコの場合,セキセイインコやコザクラインコなどよりも羽色のバリエーションは限られています。 その理由は,オカメインコの色を決定する色素が黄色い色素黒い色素(またそれが変化した茶色い色素)しか無いからです。色の出現そものもはかなり単純だといえるでしょう。しかし,色素のみで品種の特徴の全てを説明することはできません。この他の要素として,配色パターンの変化も考えられるのです(なお,いわゆる芸物のようなジャンルは存在しておらず,羽色の変化のみを楽しむことになります)。
 したがって,オカメインコの様々な色変わりは,次の4つのケースによって理解が可能です。

 1 色素の欠落
 2 色素の変化
 3 配色(カラーパターン)の変化
 4 それらの組み合わせ

 上記1と2を理解すれば,3は自ずと理解できるようになるでしょう。このような視点を持っておくことは,オカメインコの品種を理解する上できわめて有効となってきます。

 ここで,オカメインコの基本的な色変わり種を分類しておきましょう。

 色素が欠落したもの:ルチノー,ホワイトフェイス
 色素が変化したもの:シナモン,ファロー,シルバー
 配色が変化したもの:パイド,パール

 これらの品種は一般にそれぞれを組み合わせることが可能ですから,品種の数としては決して少なくありません。また,上に挙げていない最新の品種の中にはこれまでとは多少異なる要素が含まれているのではないかと思われるものもあり,品種への興味は尽きることがないでしょう。

 なお,オカメインのこの品種に関する呼称についてお断りしておきます。現在日本において一般的に通用している呼称もありますが,JCCではできる限り国際的に用いられている呼び名を使用していきたいと考えています。また,雄雌の表示は,雄(♂)を"Cock",雌(♀)を"Hen"としています。


◆品種解説(代表的なもの)◆

  注意:品種名をクリックすると「各品種別の画像・解説」ウィンドウが開き,
     そこにクリックした品種の画像や解説が次々に表示されます。
標準的な羽色のもの
ノーマル(Normal) 野生種(原種)。ペットショップでは並オカメという呼称で売られていることが多い。
色素の欠落によって生じた色変わり種
ルチノー(Lutino) 黒い色素が欠落した色変わり種。体色はクリームがかった白で,顔は黄色く目は赤,頬紅がある。ペットショップでは白オカメとして売られていることが多い。
ホワイトフェイス
(Whiteface)
黄色い色素が欠落した色変わり種。チークパッチ(頬紅)も存在しない。頬白オカメインコと呼ばれることもある。
色素が変化して生じた色変わり種
シナモン(Cinnamon) 黒い色素が茶色に変化したもの。シナモンのような淡い体色を持つ。イザベラという別称がある。
配色の変化によって生じた色変わり種
パイド(Pied) ノーマル種のカラー・パターンが変化したもので,体全体に「斑」がランダムに出る。クリーム色とグレーのコントラストが美しい種。
パール(Pearl) ノーマル種のカラー・パターンが変化し,羽の一枚一枚に黄色の水玉模様が入る種。雄の成鳥では水玉模様が消える。
色素欠乏×色素欠乏
アルビノ(Albino) 全身真っ白な品種です。これは,黒い色素と黄色の色素の両方が欠乏しているためです。
色素欠乏×色素変化
ホワイトフェイスシナモン(Whiteface Cinnamon) ノーマルなホワイトフェイスはグレーを基調としますが,ホワイトフェイスシナモンはシナモン色を基調にしています。
色素変化×配色変化
シナモンパイド(Cinnamon Pied) パイドの特徴はそのままに,クリーム色とシナモンの斑が優しい印象を与える品種です。
シナモンパール(Cinnamon Pearl) シナモン色を基調に黄色い水玉模様を持っています。優しい色合いが美しい品種です。
色素欠乏×配色変化
ホワイトフェイスパイド(Whiteface Pied) ホワイトフェイスとパイドの両方の特徴を合わせ持っています。
ホワイトフェイスパール(Whiteface Pearl) ホワイトフェイスの羽の1枚1枚に白い水玉模様を持っています。
ルチノーパイド(Lutino Pied) 一般に,この組み合わせは無効だと言われています。ルチノーとの外見の差はほとんど無いようです。
ルチノーパール(Lutino Pearl) クリーム色を基調に,鮮やかな黄色の斑点を羽の1枚1枚に持っています。
配色変化×配色変化
パールパイド(Pearl Pied) パイドの斑にパールの柄が加わります。とても美しい品種です。
色変わり因子が3つ以上組合わさったもの
ルチノーパールパイド(Lutino Pearl Pied) 全身が濃い黄色になる場合があります。イエローやバタカップなどという呼称もあるようですが,ほとんどがルチノーパールパイドのようです。
ホワイトフェイスシナモンパイド(Whiteface Cinnamon Pied)  
ホワイトフェイスシナモンパール(Whiteface Cinnamon Pearl)  
シナモンパールパイド(Cinnamon Pearl Pied)  
比較的新しい品種
イエローフェイスシナモンパイド(Yellowface Cinnamon Pied)  
イエローフェイスシナモン(Yellowface Cinnamon)  
優性シルバー・シングルファクター(Dominant-Silver/Single factor)