いわゆる白オカメとしてお馴染みの品種です。白とはいうものの,実際にはクリーム色をしています。ルチノー種は,ノーマル種からメラニン色素(黒色の色素)が欠落することによって発生した色変わり種です。つまり黄色い色素は存在しているわけで,そのために真っ白にはならないのです。なお,ルチノーは性染色体劣性遺伝であることが分かっています。
メラニン色素が欠落した結果,オスもメスも共に頭部は黄色を示し,チークパッチも鮮やかさを増しています。そのため頭部によって雌雄判別をすることは困難でしょう。しかし,成鳥のメスは尾羽や下尾筒に縞模様を持っており,これはオスの成鳥には見られない特徴であることから,この縞模様が雌雄判別に役立ちます。なお,ノーマル種に見られる縞模様が黒と黄色であるのに対し,ルチノー種の場合には白と黄色の縞模様になっています(黒い色素が欠落しているため)。
ルチノー種の頭部には小さな無毛部分があるのが一般的です。これは,遺伝的な特徴であり,病気ではありません。しかしながら,注意深くブリーディングされたルチノーには無毛部分がない場合もあり,無毛部分をいかに小さくしていくかが今後の課題と言えるでしょう。ルチノーの無毛部分については,正確な遺伝の知識をもった上で繁殖させることがいかに大切かを示している好例です。無理をせず,適切な繁殖を心がけていきたいものです。
目は赤目を示します。雛の頃ははっきりとした赤目をしていますが,成鳥になるとやや深い色合いに変化してきます。一見すると,黒目と間違えそうになります。これはメラニン色素が増えるためだといわれています(たとえ成鳥であっても強い光を当てることによって赤目であることが確認できます。ただし,鳥の目の保護のため強い光を当てることは推奨できません)。
なお,成鳥のオスには背中から翼にかけてうっすらとシナモン色が現れることがあります。正確な研究を行ったわけではありませんが,多くの個体を調査した結果,これはルチノー種のオスの特徴であることが推測されます。あくまで仮説ですが,このような特徴はメラニン色素の増加による影響だと思われます。成鳥の目の色の変化についてもいえたことなのですが,ルチノー遺伝子はメラニン色素を完全には除去できないのかもしれません。より精緻な研究・調査が期待されます。