アルビノとは色素細胞に色素を持たない個体を指し,白子とも呼ばれます。この定義は生物学上の定義となります。オカメインコの色素は黒と黄色の2つだけですから,ルチノー(メラニン色素の欠乏)とホワイトフェイス(黄色い色素の欠乏)の両方の特徴を持つホワイトフェイスルチノーはまさにこの白子に該当します。ごく一般的には,アルビノはホワイトフェイスルチノーの別称であるとの解説が多くなされています。
しかし,アルビノとホワイトフェイスルチノーを完全に同一視するのは問題があるのではないかとJCCでは考えています。以下では,JCCの考え方をふまえながら解説してみます。
オカメインコの場合,全身真っ白な個体は赤目,ブドウ目,黒目と目の色により3種類に分けられているようで,赤目はアルビノ,黒目はスノーホワイトと呼ばれています。つまり,生物学的にではなくオカメインコの品種としてアルビノを定義すると,赤目を持った白い個体と考えるのが妥当なのです。残念ながらJCCでの繁殖実績が少なく,アルビノやスノーホワイトについて詳細には把握しておらず,遺伝的に解説できるのはホワイトフェイスルチノーと呼ばれる品種だけです。アルビノとスノーホワイトは遺伝的にはどう異なっているのか,アルビノとホワイトフェイスルチノーの峻別は可能なのかなど,解明されていない問題点が数多く残されている分野です。
ホワイトフェイスルチノーは黄色い色素が欠乏したホワイトフェイス種と黒い色素が欠乏しているルチノー種の両者の効果が合わさり全身が真っ白になった品種で,色素を持たないため本来なら赤目になるはずです。ところが,ルチノー(白オカメ)自体も完全な赤目の鳥が少ないように,ホワイトフェイスルチノーの目は実際にはブドウ目になることが多いと思われます。
この品種は名前の通りルチノーのオスとホワイトフェイスのメスでペアを組み,産まれた鳥と同様の別ペアから産まれた鳥とを掛け合わせて作出します。ホワイトフェイスとルチノーの両遺伝子を各2つ持つ(ただし♀のルチノー遺伝子は1つ)鳥を作れば良いわけです。両品種とも手に入りづらい鳥ではありませんから繁殖に挑戦してみてはいかがでしょう。
スノーホワイトと呼ばれる黒目の個体はホワイトフェイスクリアパイドです。パイド種の特徴としてパイド同士で繁殖を続けると斑が減少していきます。これを利用して全身を真っ白な羽色にした鳥です。
前述しましたように目の色により色々な名称があり,この他にも「銀目」を持つ個体も存在し,JCCでは全ての遺伝子を把握できていません。これからの繁殖を通じて遺伝的形態を解析して行こうと考えています。またアルビノ,スノーホワイトと他品種を組ませて前品種が産まれた例がありましたら参考にしたいのでJCCまでご連絡いただきたいと思います。