自宅での看護方法

 

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【オカメインコの具合が悪くなったとき,まず何をしなければなりませんか?】

 まず最初に考えるべきことは保温・加温です。病鳥の看護については保温・加温が大原則となりますので,きちんと押さえておくようにしましょう。
 健康なオカメインコは高い体温を保持していますが,体力が落ちてくると体温の低下が見られます。こうなると,体内の諸機能がうまく働かないため,体調の一層の悪化を招いてしまいます。したがって,調子の悪そうなオカメインコに対しては,まず第一に保温・加温を徹底してください。
 もちろん,病気の治療自体はかかりつけのお医者さんに委ねることになります。いざという時に慌てなくてもすむように,日頃から信頼できるお医者さんを見つけておく必要もあります。

【保温の仕方に工夫すべき点はありますか?】

 保温・加温する場合,どの程度を目安にすればよいのかは一概には言えません。一般的には30度前後を目安にしているようですが,これを絶対視する必要はありません。鳥が羽毛を立てて寒そうにしているのであれば,もっと加温してやる必要があります。逆に,鳥が翼を広げて暑そうにしているのであれば,もう少し温度を控えめにしてやらなければなりません。適切な温度をできるだけ早く見つけてあげたいものです。
 そこで,次のような工夫をする場合があります。かごの半分を集中的に温め,かごの半分は加温しない,という方法です。例えば,かごの半分だけをこたつに入れるという方法があります。こうすることによって,寒ければ鳥はこたつの方によっていきますし,暑ければこたつから離れようとするでしょう。一つの参考にしてください。

【保温器具は売られていますか?】

 鳥や小動物用の保温器具があります。ひよこ電球を利用したものをよく見かけるのではないでしょうか。このタイプの保温器具はかごの外に取り付けるようにします。かごの中ですと,鳥がコードをかじって事故を起こしたり,低温やけどの原因にもなります。また,加温のやり過ぎは良くありませんから,サーモスタットの併用をお勧めします。小動物用のものもありますが,熱帯魚用に売られているものを流用することができます。デジタル式のものが便利でしょう。

注意:熱帯魚用のヒーターを流用することはできません。これは水中で利用するものですから,空気中で利用すると火事の原因となります。絶対に利用しないようにしてください。

 ひよこ電球とサーモスタット併用の場合,かごを毛布などでくるんでやると良いでしょう。サーモスタットによる温度調整が適温を維持してくれますし,保温効果も高まります。ただし,全面をくるむのではなく,どこか一面は開けておくようにします。いざというときに備えて,事前に温度調整などのテストをしておけばさらに万全です。

【エアコンを使ってはいけませんか?】

 エアコンを使っても問題ありません。最近の省エネタイプですと,1日中つけっぱなしにしておいてもそれほど電気代はかからないようです。温度調節もしやすいので,お勧めの方法です。ただし,エアコンの風が直接当たらないようにしてください。

【エアコンを使うと湿度の低下が心配なのですが・・・】

 オカメインコの場合はあまり心配する必要はありません。もともと乾燥地帯に生息している鳥ですから,乾燥には強いのです。むしろ加湿しすぎる方が問題ですから,気になるようでしたら濡れタオルを室内に干す程度で十分でしょう。

【保温器具がない場合はどうすればいいでしょう?】

 家庭にあるものを利用するようにします。例えば,白熱球のスタンドをかごの外から照らす方法がありますが,火事にならないように十分注意してください。また,使い捨てカイロを用いることもできますが,使い捨てカイロは酸素を消費して熱を発生させますので,酸欠には十分気をつけなければなりません。ペットボトルにお湯を入れて湯たんぽにする方法もありますが,お湯の温度や水漏れなどに細心の注意を払ってください。

【看護用のケージは必要ですか?】

 飼育環境にもよると思いますが,あらかじめ用意しておくと必要な時にあわてずにすむでしょう。例えば,複数飼いで感染の可能性がある場合は,必ず必要になります。また,普段,大きめのケージ(465インコなど)で飼育している場合は,病鳥が動きすぎて余計なエネルギーを使わないように小さめのケージへ移すと良いと思います。小さなケージには,保温がしやすいという利点もあります。通院にも便利ですね。
 看護用ケージの一例:ハムスター用の飼育ケージの中には,オカメのサイズにちょうどよさそうなものがあります。ケージの上の部分が大きく開くものが便利です。低い位置に止まり木を一本付けてあげてください。

【なかなか適温にまで上昇させることができません】

 利用している熱源が弱いことが考えられますが,かごの設置場所も考え直す必要があります。冬場ですと,窓の近く,床の上などはとても寒くなっています。できるだけ暖かな場所にかごを設置し直してみてください。ただし,病鳥の様子が十分に観察できなければなりませんから,目の届く範囲内でかごを設置するようにしましょう。

【病院に行く際にも保温は必要ですか?】

 もちろん必要です。車で病院に向かう場合には,車内を十分に温めておきます。公共交通機関を利用する場合には病鳥を小さなケースに入れ,ケースを紙袋などに入れて持ち運ぶことが多いと思いますが,この紙袋に熱源を用意します。途中で熱源がきれたときなどは,温かい缶飲料で代用することもできます。いずれにせよ,寒くなりすぎたり暑くなりすぎたりしないよう,十分な対策をしてください。

【病鳥が餌を食べなくなったのですが・・・】

 鳥は余分な栄養を体内に蓄えない仕組みになっています。ですから,餌を食べなくなってしまうと急速に体力が衰えてしまいます。このような場合には強制給餌を行わなければなりません。病院で強制給餌をして頂いたり,自宅で行うことも可能です。十分に余裕のある場合は病院で指導を受け,それから自宅での強制給餌を行えばよいでしょう。

【強制給餌をしたいのですが,病院が休診日で困っています。】

 強制給餌の方法は,体力が落ちて餌を食べられなくなった鳥の看護の為に,ぜひ憶えておいて欲しい技術です。市販の道具としてはスドーからフードポンプが発売されていますからそれを使います。付属のチューブは一見太すぎる気がしますが,オカメなら楽に入りますから心配有りません。
 フードポンプと言っても注射器にビニールチューブを付けただけの商品ですから,注射器やカテーテル,ビニールチューブが手に入れば自作することも可能です。
 このポンプに良く溶かしたパウダーフードを空気溜まりが無い様に充填し,強制的に給餌します。方法は,顔を上に向けた状態で捕定し向かって嘴の右側から喉の左側に差し込む要領で行います。この時に嫌がって舌で抵抗しますが,根気よく舌の上にチューブが乗るまでトライして下さい。舌の上に乗ったらそのまま奥まで差し込みます。鳥が抵抗する時にチューブの中に舌が入ってしまいそのまま差し込むと大けがをしますから注意が必要です。また荒鳥はチューブに噛みついて放さない等かなりの抵抗をしますので,他の道具を用意した方が良いでしょう。手乗り鳥の場合はその様な事は無いと思います。チューブを差し込むのに遠慮して中途半端だとかえって気道に餌が入るので危険です。細心且つ大胆にやりましょう。ポンプは使用後に良く洗い清潔にしておきます。
 成鳥は羽が生え揃っているのでチューブの先端が何処に有るか判りづらいのですが,ヒナならよく判りますのでヒナの内に何回か練習しておくと成長してからでも見当が付きます。
 荒鳥にはステンレスの専用ニードルを使いますが,国内では市販されていないと思います。必要な方は会長の鬼形まで御連絡ください。

【人間用の薬を流用しても構いませんか?】

 絶対にやめましょう。薬は必ず動物病院で処方してもらいます。

【民間療法は有効でしょうか?】

 鳥についても様々な民間療法が存在しています。しかし,病気の治療は動物病院にお任せするというのが大原則ですから,民間療法に頼るのは感心しません。多くの民間療法はかえって病気を悪化させてしまうおそれがあります。


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